工事の背景・工事前の課題
半導体工場内冷却塔へ送水するポンプにおいて、メカニカルシール部からの漏水が発生しているとのことで、お客様より修理のご依頼をいただきました。当社にて現地分解調査を実施した結果、メカニカルシールの損傷に加え、軸受胴体およびポンプ本体主軸にも顕著な摩耗が確認されました。これらの状況を踏まえ、ポンプ性能復旧のため、オーバーホールを実施いたしました。
改善効果・当社からの提案
オーバーホールに際して、メカニカルシールだとお客様での整備や交換が難しいため、整備・交換ができるグランドパッキンへの仕様変更(改造)を当社より提案いたしました。グランドパッキンはメカニカルシールに比べると水漏れが起きやすいという欠点がありますが、当該送水ポンプは屋外で使用されているため水漏れが起こってもあまり問題では無いため、お客様からのご了承のもと、仕様変更・改造を行いました。なおオーバーホール実施後の試運転では異常が無いことが確認され、現在は終日稼働しております。
オーバーホールに際し、お客様のメンテナンス性を向上させるため、メカニカルシールからグランドパッキンへの仕様変更をご提案。一般的に、グランドパッキンはメカニカルシールと比較すると常に水漏れが発生する状況になりますが、当該送水ポンプは屋外に設置されており、液質についても問題がなかったため、環境への影響が比較的少ないと判断いたしました。お客様のご理解とご同意を得た上で、グランドパッキンへの仕様変更を含むオーバーホール作業を実施いたしました。
具体的な作業内容としては、以下の通りです。
・メカニカルシール:新品への交換ではなく、グランドパッキン仕様への改造を実施。
軸受胴体: 摩耗部を精密に補修、または必要に応じて交換。
・ポンプ本体主軸: 摩耗部に対して適切な研磨または溶射処理を実施し、寸法を復元。
・その他:各部清掃、点検、および必要に応じた部品交換。
オーバーホール後の試運転では、異音や振動、漏水などの異常は一切確認されず、ポンプは正常に稼働しております。現在も終日運転されており、冷却塔への安定的な送水機能を回復いたしました。
本工事を通じて、ポンプの復旧に加え、お客様ご自身でのメンテナンスが比較的容易なグランドパッキン仕様への変更を行うことで、長期的な運用における利便性向上に貢献いたしました。ポンプ設備のトラブルやメンテナンスに関するご相談は、ぜひお気軽にお寄せください。