「フロン排出抑制法」では、「管理者の判断基準」として遵守しなければならない重要事項として、点検があります。
これには、簡易点検と定期点検の二種類があります。これらのことについての詳細を示します。なお前提として、「全ての機器1台ごとに点検・整備記録簿をつけ、その記録簿に記録・保存しなければならない」ということがあります。
点検・整備記録簿はフロン排出抑制法の改正により令和2年4月以降、機器を廃棄してからも3年間の保存が義務づけられます。
点検・整備記録簿が未作成の場合は早急に作成が必要です。
簡易点検について
すべての第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)において、3カ月に1回以上の簡易点検が義務付けられています。
内容
エアコンの場合
異常音並びに外観の損傷、磨耗、腐食、錆などの劣化。油漏れ並びに熱交換器への霜の付着の有無など。
冷凍冷蔵機器の場合
上記の内容と、貯蔵または陳列する場所の温度など。
実施方法
3カ月に1回以上で、管理者自身がその技術などに応じた範囲で自ら行うことでも可能。
記録事項
基本事項
- ①管理者の氏名または名称、法人にあっては実際に管理に従事する方の氏名を含む。
- ②機器の所在および機器を特定するための情報。
- ③初期充塡量(機器に充塡されているフロンの種類およびその量、設置時の現場充塡量を含む)。
点検に関する事項
- ①簡易点検を行った旨(チェック項目など)、点検年月日。
定期点検について
定期点検の対象機器と頻度
製品区分 | 圧縮機の定格出力 | 点検頻度 |
---|---|---|
冷蔵機器及び冷凍機器 | 7.5kW以上 | 1年に1回以上 |
エアコンディショナー | 50kW以上 | 1年に1回以上 |
7.5kW以上50kW未満 | 3年に1回以上 |
※圧縮機の定格出力とは、基本的には圧縮機を駆動する電動機の定格出力をいうが、ガスヒートポンプエアコン等、
圧縮機の駆動に内燃機関(エンジン)を用いる機器については、当該内燃機関の定格出力をいう。
輸送用冷凍冷蔵ユニットのうち、車両その他の輸送機関を駆動する内燃機関により輸送用冷凍冷蔵ユニットの
圧縮機を駆動するのもについては、当該内燃機関の定格出力のうち当該圧縮機を駆動するために用いられる出力をいう。
※複数の圧縮機がある機器の場合、冷媒系統が同じ(複数の圧縮機が同じ冷媒配管により接続されている場合)であれば合算して
判断する。例えば、ひとつの冷媒系統に2台の圧縮機が使われている場合は、2台合計の定格出力で判断する。
定期点検の実施者(十分な知見を有する者)
機器の専門点検は第一種フロン類充塡回収業者に委託するなど、十分な知見を有する者が自ら行うか、立ち会うことが必要。
内容と実施方法
- ●機器の異音、外観検査を行う。
- ●漏えい箇所が概ね特定できる場合は、直接法(発泡液法、電子式漏えいガス検知装置法、蛍光剤法など)により行う。
- ●その他の場合は、間接法(蒸発圧力などが平常運転時に比べ、異常値となっていないかを、計測器などを用いる)により行う。
- ●直接法と間接法を組み合わせた方法により行う。
RaMS (Refrigerant Management System)は日本冷媒・環境保全機構(JRECO)が提供する、自社で保有・管理する冷凍空調機器・冷媒をWeb上で簡単、確実、効果的に管理するためのクラウドサービスであり、点検・整備記録簿の合理的な作成、保存が可能です。